項目 |
現況 |
課題 |
方針 |
A 水辺の生きものと暮らす |
- 水辺の環境が土地利用の移り変わりとともに、変化してきており、動植物の生息環境としては悪くなってきている。
- かつて(昭和30年代)身近によく見受けられた動植物をあまり見かけなくなった。
- 水路や用水の水ぎわなどがコンクリート等により施工され生物の生息する環境が悪化し、なくなりつつある。
- 生活環境の変化に伴って、ママ下湧水や崖線林、水田の環境が変わり、自然環境の質や生物生息環境も少しずつ変わってきた。(ママ下周辺の生きものをはぐくんできた環境の変化、ハケと湧水と水田と用水路が一体となった歴史的農環境の崩壊)
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- 現存する生物生息環境の保全と維持。
- 生物生息域としての崖線の位置づけ。
- 道路などの整備による影響を低減する工夫。
- 特定の種の生息ではなく生態系としての総合的な視点からの環境管理を行う必要がある。
- 農地、湧水、ハケ、崖線林の環境の一体的な保全。
- 水路や小川における自然環境の回復。−特に水ぎわの多様な生物生息環境の復元。
- 通水性のある護岸の復元など小動物の生息しやすい水辺環境の創出。
- 区画整理に伴う水路の整備は、直線的あるいは不自然な曲線となり、生物が有機的に生息しにくい環境を生んでしまう。
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- 自然環境の維持や保全を行政と市民が協働で行う。−身近な自然環境の市民自らの保全と利用。
- 昭和30年代よく見受けられた動植物の復活。
- 府中用水などの年間通水による、水環境、生物生息環境の確保。−人も生物も利用する緑の回廊。
- 木杭、粗朶※等自然の材料を使った水ぎわの整備。
- ナガエミクリ、ミゾソバなどの水生植物が生える水辺を作る。
- バリアフリーにも配慮した水辺の散策道の整備。
- 矢川、湧水、府中用水、多摩川などの利水や環境を把握するための調査と保全。
- 小魚などが隠れる場所を伴った水辺の生物のための整備。
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B 農地やハケを守る |
- 人は自然から恩恵を受けているにもかかわらずその大切さを忘れてしまっている。−生きものと人が共存していることを見失いがち。
- 水田や畑などの農地が相続や生産物の値崩れなどにより維持が困難になってきており、減少してきている。−生産緑地も減少。
- 地場農産物の市内消費量が少ない。
- 非農家の市民にとって生活の場の中にある農地の意味を考える機会が減っている。
- ハケ(青柳崖線)の重要地点に都道3・3・15号線が通ることになっており、湧水を始め周辺環境への影響も避けられない。
- 国立でもっとも生きもの多様性が保たれてきたハケ周辺に開発が迫っている。
- ハケ上に都市計画道路3・4・3号線の計画がある。
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- 木や葉や草も私たちの生活に欠かせないものであることを考える必要がある。
- 住宅地や農地の細分化されないための対策。
- 区画整理等でも緑地を確保する。
- 今ある川や水路を利水、環境の両面から見直す必要がある。
- 水路やあぜ道を利用して地域で親しまれてきた祠や鎮守の森など自然や文化的な遺産をつなぎ継承していく。−御獄神社、青柳稲荷、御鷹の森や周辺の農地、崖線の緑など。
- 農業が生業として成り立つしくみづくり。
- 都道3・3・15号線、区画整理などによりもたらされるであろう自然環境への影響を最小にとどめる対策。
- ハケ周辺に生きものがすみやすい環境を整える。
- 3・4・3号線は貴重な緑を分断し、湧水に影響を与える恐れがあり、対策が必要である。
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- 水田等での有機農法の推進。−フナ、ドジョウ やタニシなどが生息する環境をよみがえらせる。
- 有機栽培、減農薬栽培等の奨励。−腐葉土(たい肥)の積極的な使用など。
- 歴史的資源と水辺をつなぐ散策道の整備。−既存の散歩道との連携。
- 後継者が育つなど継続的な農業の振興策の工夫。
- 市民が広くまちの環境について知る機会を設ける。
- 都道3・3・15号線計画における環境への影響が最小限となるようシミュレーションを行い検討する。
- 水田や城山、ハケなどで鳥や魚、昆虫が繁殖しやすい環境にしていく。
- 生きものの多様性を考慮した環境の保全と創出。−環境の連続性の確保。
- 緑の基本計画策定委員会や専門家等との協力。
- ハケの環境に影響を及ぼす大きな道路は造らない。
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項目 |
現況 |
課題 |
方針 |
A 雑木林を守り、育てる
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- 東・中・西地域は、かつて雑木林として利用されてきたが、その面影が一橋大学の中に一部残存する。
- 南武線南側の御鷹の森には武蔵野の名残である雑木林がわずかにある。
- 市内に残る雑木林もこの20年でほとんどが消失している。
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- 市内各所に点在している雑木林の保全と再生。
- 新しく整備される公園の植生も考慮する。
- 既設の公園についても広域的視野で植生を見直す必要がある。
- 残存する雑木林の土壌、下草が貧弱になっている。
- 生きものを活かした多様な広場を作る。−芝生広場など。
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- 残存する雑木林の調査、研究と活用。−環境学習や生涯学習など。
- 地域や個人、学校、企業、行政が協力して緑化協定を結ぶ。−話し合いの場の設置。
- 社寺林などは歴史的、文化的な資源として位置づけ、保全を行う。
- 雑木林や原っぱの公園の整備。
- 一橋大学の林や池の環境改善による生物生息域の拡充。
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B まちに暮らす生きものたち
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- 東西に伸びたハケの樹林帯(崖線林)は多くの生きものたちが行き来していて、国立の緑のネットワークの中で大変重要だったが、道路などによる分断のおそれがある。
- 子どもの遊び場としての原っぱが、多摩川河川敷以外にない。
- 市街地の公園に生きものの生息や飛来に適した環境がない。
- 公園、街路樹などの緑地帯には生きものが少ない。
- 街路樹や住宅地で生物生息に配慮した樹種があまり植えられていない。
- 公共緑地の土壌の乾燥化、踏みしめによる酸欠化。
- 公共緑地や学校、公園等にほとんど開放水面(池、親水施設)がない。
- 旧甲州街道などの歴史的遺産が分断、開発により存続の危機に瀕している。
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- 生きもののすめる公園づくりや市民参加の公園づくりの推進。
- 道路などの整備における自然環境の位置づけがされていない。
- 自然環境を軸にした人がかかわる空間(公園や道や住宅地)の整備。
- 学校や公園などで緑の量を増やす。
- 施設整備に対する、自然環境面からの対応策の検討。(例えば都市計画道路建設や区画整理。−ハケ周辺、放置すれば確実に減る緑と自然環境)
- 生物生息に配慮した多様性に富んだ環境づくりを行う必要がある。
- 落ち葉のたい肥化と活用をより推進し、市民への理解を求める。−農業への活用など。
- 生きものが生息できる水辺や水路を新設する努力が必要である。
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- 緑を分断しないような道路構造にする。−道路の下に大きな空間を作る、道路の上に植物で緑のトンネルになるように工夫し、緑の帯をつなげるなど。
- やむをえない公共事業の中では自然や生き物への負担、影響を最小限にとどめる。
- 街路灯などの光が生物へ与える影響の低減。(都道3・3・15号線等の整備等)−持続可能な生物生息環境づくり。
- 公園や街路樹、学校などの樹木に木の種類(名前)を表示する。
- 生物の生息に配慮した樹木への転換を行う。
- 学校に雑木林やトンボ池などをつくり、教育、学習などへ活用すると共に、生きものの小拠点とする。
- 公園などの植裁でも質に対する配慮を行う。
- 公園管理等への自然環境に理解のあるボランティアや高齢者の参加。−人材の育成。
- 緑地の連続性を確保し、人がこれを利用するために、資源を活用した散策路の連携を図る。
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項目 |
現況 |
課題 |
方針 |
A 住宅地の緑
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- 住宅の「緑」は、市街地では貴重である。
- 個人所有の「緑」の保全は、不安定要因が多い。
- ガーデニングブームにあって個人の庭の植栽が洋風化する傾向にある。
- 土地の細分化により緑地も細分化、消滅してきている。−ミニ開発等による住宅地の緑の減少、増えた緑よりも失われた緑の方が多いという現実。
- 個人所有の生産緑地等が相続により売却され、マンション等に変わっていく結果としての緑の減少。
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- 生け垣等の保存方法の改善。
- 個人の家の緑を守るための方法の検討。
- 個人の庭が作る連続する緑を大切にする。
- 生態系にも配慮した植物の奨励など。
- 開発の時にできるだけ多く緑地を確保する。
- 開発に伴う緑化義務などの条例化。−罰則等を含む。
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- 住宅地や街路樹にもっと野鳥などが好む実のなる木を増やす。
- 生け垣や大木の保全のための基金、補助金の設立。
- 生きものに配慮した樹木の住宅への植樹の奨励。−補助金制度等の設定。
- 最低敷地面積の設定などによる敷地の分割の制限。−緑地確保の目標設定。(例えば30%など)
- マンション開発や商業ビル建設時の屋上緑化、壁面緑化、または建ぺい率の抑制などの自発的寄与を準義務化する。
- 個人庭園、生垣等の好例を市で表彰する制度の設置。
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B 身近な緑を守りつくる
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- 屋敷林や生け垣などの維持、保全が所有者に委ねられている。−わずかな補助金が支給されている。
- 屋敷林と屋敷林をつなぐ沿道緑地の保全や草地、農地を囲む外周緑地の保全が困難となっている。
- 公共的な場所の緑化を進めるしくみがない。
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- 特に高木の落ち葉や日照など、周辺とののかかわりの問題。
- 相続や手入れ等の負担の軽減。
- 緑地や低木地を伴う私道や農道の保全がほとんど行われていない。
- 保全のしくみがないため所有者や地域に負担させるに止まっている。
- 駐車場等の周辺への植裁を推進する。
- 公共施設、企業、商店街等での緑化や植樹の奨励。
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- 土手、生け垣など生きものが生息できる隙間のある構造を街や住宅に取り入れる、自然環境に配慮したまちづくりのガイドライン作成。−市街地の緑地を守る施策づくり。
- 緑を守り育てるための相談所の設置。
- 庭園のある住宅作りのための指導要網を定める。
- 貴重な屋敷林については基金を設け、優先的に助成するなどの制度づくり。
- 保存すべき樹木や樹林への助成の増額や減税措置。
- 防災や景観を守るための資金で緑の質を高める。
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C 自然を暮らしに生かす
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- 草や木を暮らしに活かす楽しみや知恵を失ってきている。−自然を暮らしに生かすことが少なくなってしまった。
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- 自然の循環を暮らしに活かす機会を増やす。−自然と人が共鳴するまち。
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- 草や木を活かした講習会や見学会、学習会の実施。−野草の料理や草木染めなど。
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※注:ミティゲーション(Mitigation/代償措置):開発の際に生じる環境への影響を,何らかの措置により緩和するという概念。「回避」「最小化」「低減」「代償(補償)」などの措置がある。
※注:サンクチュアリ(sanctuary):聖域。自然環境においては動植物の自然保護領域を意味する用語。