一橋大学有志の緊急アピール

editor: 佐伯 章

2001.7.18 一橋大学有志の緊急アピール文書です。
そのまま転載しています。

■■■『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』の
            採択に反対する一橋大学有志の緊急アピール■■■

 現在ここ国立市では、扶桑社発行の中学校用教科書『新しい歴史教科書』および『新しい公民教科書』が採択されかねない状況が生まれています。最終的な採択教科書の決定は、今月の23、24日です。採択教科書の決定に際して従来行われてきた現場の教師の意見を反映する場も省かれて拙速にことが進んでおり、決着を目前に控え、予断を許さない状況にあるといえましょう。「日の丸」掲揚問題でも注目されてきた国立市が採択に踏み切れば、他の地方自治体でも次々と採用される可能性があり、何としても阻止しなければなりません。
 これらの教科書は、既に文部科学省の教科用図書検定に合格していますが、検定で指摘された点の修正とその後の自主修正を経てもなお、基本的な問題点は解消されていないと思われます。
 第一に、既に多くの研究者の指摘にあるように、基本的な史実に関する初歩的な誤認や、社会科学のこれまでの研究成果を踏まえない一方的な記述が多く見られます。思想性や歴史観を云々する以前に、子供たちが歴史を学ぶ教材としてこの教科書が適切といえるかどうか、疑問を抱かざるを得ません。
 第二には、日本の現状に関する見方や、それと密接に関わる歴史観についての重大な問題があります。歴史教科書では、一方で歴史の多様性を謳いながら、他方では日本民族のアジア諸民族に比しての優越性をたたえるという、矛盾した記述がみられます。またそれにとどまらず、日本が、欧米の植民地支配のもとにおかれていたアジア諸国の解放に寄与したことが示唆されており、日本自身のアジア侵略を隠蔽し、全体として日本の近代史を正当化する論調で貫かれています。
 そしてそのうえで、公民教科書において、「憲法改正」や集団的自衛権行使の容認が主張されています。これらの記述はいずれも、アジアを侵略した過去の日本の行動を正当化し、新たにアジア太平洋地域で日本が軍事的にも役割を果たすことを助長する方向を主張している点で一貫しています。
 一橋大学だけをとってみても、アジアからの留学生や在日韓国・朝鮮人などの多様な学生が存在しており、今日のグローバルな時代にあって日本の歴史はもはや日本一国だけのものではありません。他者の視点を排除した歴史像・社会観を一方的に提示するこの教科書が、子どもたちの手に渡ることはとうてい黙視しえないと考え、その採択に強く反対します。
 具体的な行動としては、現在、国立市民を中心として行われている下記の署名活動に積極的に協力していきたいと考えています。私たちの行動提起は、採択派の1000筆を大幅に越える数の署名を集めることで採択反対の声がより大きなものであることを示し、扶桑社版教科書の採択を阻止しようとするものです。
 採択反対の署名は、短期間で既に1300筆を越えました。さらに圧倒的多数の数を集めるため、一橋大学としても、国立市内外の多くの方に呼び掛けながら反対の声を広げていきたいと思います。
 なお、短期間での集約が必要で重複分をチェックする時間的余裕がないため、メールや複数の方からお願いされた場合も、必ずお一人一筆のみの署名をお願いいたします。
                             2001.7.18

  呼びかけ団体:一橋大学中国留学生学友会/一橋大学韓国留学生会/一橋大学
         教職員組合/一橋大学前期自治会執行委員会/一橋大学後期
         学生会執行委員会/一橋大学院生自治会理事会
              (問い合わせ先:hanaoka@dc5.so-net.ne.jp)

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 市教委宛の下記の要望書への賛同者を緊急に募っています。ご賛同下さる方は、お名前とご住所を下記のメールアドレスまで送信してください。いただいた署名は今回の提出目的以外には使用しません。(締め切りは二次集約が21日(土)です。)あと3日しかありませんので、お早めにご返送ください。

国立在住ではないけれども、在勤、在学など国立市と関係の深い方は、ひとこと欄にその旨お書きください。たとえば、「一橋大学社会学研究科教授」「一橋大学勤務」「一橋大学商学研究科大学院在学」などです。
国立と特別関わりのない方の署名も歓迎です。

なお、メールと書面での重複署名はくれぐれもお控え下さい。

  ■■■ 賛同メール送り先: hanaoka@dc5.so-net.ne.jp ■■■

◆要望書に賛同します。
お名前:
ご住所:
ひとこと(よろしければご記入ください)
ひとことの市教委への提出:希望する・希望しない
提出希望の場合の名前公表:可・否

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国立市教育委員会
 教育委員長 重野和夫 殿
 教育長   石井昌浩 殿

                要 望 書
私たちは、以下のアピールに賛同し、新しい歴史教科書をつくる会が編集した扶桑社版の中学歴史・公民教科書の採択に反対いたします。

[アピール]
憲法否定・国際孤立の道へ踏み込む教科書を子どもたちに渡してはならない

「新しい歴史教科書をつくる会」による中学歴史・公民分野教科書が検定に合格しました。

■検定による修正でも変わらない「あぶない」本質
 アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」とよぴ、アジア解放のために役立った戦争として美化し肯定する立場がつらぬかれています。神話をあたかも史実であるかのように描いた記述もほとんど変化がありません。アジア諸国の歴史を侮蔑的に描き、国際的に通用しない偏狭な日本国家への誇りを植えつけようとしています。大日本帝国憲法や教育勅語を礼讃する記述は変わらず、大日本帝国憲法のもとでいかに人権が抑圧されたかについての記述はみられません。さらに、日本国憲法第9条「改正」論を基調に、国防の義務、国家への奉仕を相変わらず強調しています。
 検定による一部修正でも、この教科書の全体をつらぬく基本的な考え方は変わっていません。さらに「つくる会」の危険なねらいは、このような修正によって消え去るものではありません。

■憲法を敵視し「戦争ができる国」をめざす教科書
 戦争への痛切な反省から生まれた日本国憲法の理念をこのように敵視する教科書が公教育の場に登場するのは戦後はじめてのことであり、公教育として許されないことです。日本を戦争参加にみちびく新ガイドライン関連法が成立し、改憲をめざすうごきが本格化するなかで、このような教科書が登場したことは、子ども・国民をこれからの戦争に動員することをねらうものです。

■国際的な約束に反する教科書を検定合格させた政府の責任を逸れることはできません。
 そもそも日本国憲法は、日本がふたたぴ侵略戦争はしないという国際的宣言であり、国際公約でもあります。また、1982年に教科書検定基準に近隣諸国条項が付け加えられ、1995年の村山首相談話、1998年の日韓共同宣言でも、重ねてアジア諸国に与えた被害にたいするお詫ぴと反省が表明されました。これらの言明は日本政府の明確な国際公約であり、政府は国際公約を守る当然の義務があります。このような国際公約に違反し、日本国憲法を否定する教科書が出現したことについて、日本政府の責任は重大です。

■こんな教科書を子どもの教科書として使用することに反対です。
 私たちは、日本国憲法を否定し国際孤立の道へ踏み込む危険な教科書が、子どもたちの手に渡されることを許すことはできません。危険な教科書が検定に合格したいま、各地域でこの教科書を採択させないよう声をあげ、関係機関への働きかけを強めましょう。それによって、日本国民の良識を世界にむかって示そうではありませんか。

■アジアの人々との共生に向けて、共通の歴史認識がもてるような教科書を!
 既存の教科書の侵略加害と植民地支配に関する記述が大きく後退した問題について、その真相と責任を明らかにし、アジア諸国と共通の歴史認識をもてるよう、教科書記述の充実改善を求め、実現させようではありませんか。

2001年4月3日

「教科書に真実と自由を」連絡会/子どもと教科書全国ネット21
社会科教科善懇談会世話人会/「戦争と女性への暴カ」日本ネットワーク
全国民主主義教育研究会/高嶋教科書訴訟を支援する会/地理教育研究会
日本出版労働組合達合会/日本の戦争責任資料センター/ピースボート
歴史教育者協議会/歴史の事実を視つめる会

取扱団体:( 国立市の教科書採択を考える会 )
[連絡先 573-2728 佐々木]

(July 17, 2001)


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----------------------------------------------------------- 国立市教育委員会  教育委員長 重野和夫殿  教育長   石井昌浩殿 要望書  私たちは、以下のアピールに賛同し、新しい歴史教科書をつくる会が編集  した扶桑社版の中学歴史・公民教科書の採択に反対いたします。 [アピール]  憲法否定・国際孤立の道へ踏み込む教科書を              子どもたちに渡してはならない ・「新しい歴史教科書をつくる会」による中学歴史・公民分や教科書が検定に合格 しました。 ■検定による修正でも変わらない「あぶない」本質  アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」とよび、アジア解放のために役立った戦争と して美化し肯定する立場がつらぬかれています。神話をあたかも史実であるかのよ うに描いた記述もほとんど変化がありません。アジア諸国の歴史を侮蔑的に描き、 国際的に通用しない偏狭な日本国家への誇りを植えつけようとしています。大日本 帝国憲法や教育勅語を礼讚する記述は変わらず、大日本帝国憲法のもとでいかに人 権が抑圧されたかについての記述はみられません。さらに、日本国憲法第9条「改 正」論を基調に、国防の義務、国家への奉仕を相変わらず強調しています。 検定による一部修正でも、この教科書の全体をつらぬく基本的な考え方は変わって いません。さらに「つくる会」の危険なねらいは、このような修正によって消え去 るものではありません。 ■憲法を敵視し「戦争ができる国」をめざす教科書  戦争への痛切な反省から生まれた日本国憲法の理念をこのように敵視する教科書 が公教育の場に登場するのは戦後はじめてのことであり、公教育として許されない ことです。日本を戦争参加にみちびく新ガイドライン関連法が成立し、改憲をめざ すうごきが本格化するなかで、このような教科書が登場したことは、子ども・国民 をこれからの戦争に動員することをねらうものです。 ■国際的な約束に反する検定合格させた政府の責任を免れることはできません そもそも日本国憲法は、日本がふたたび侵略戦争はしないという国際的宣言であり、 国際公約でもあります。また、1982年に教科書検定基準に近隣諸国条項が政府に よって付け加えられ、1995年の村山首相談話、1998年の日韓共同宣言でも、 重ねてアジア諸国に与えた被害にたいするお詫びと反省が表明されました。これらの 言明は日本政府の明確な国際公約であり、政府は国際公約を守る当然の義務がありま す。このような国際公約に違反し、日本国憲法を否定する教科書が出現したことにつ いて、日本政府の責任は重大です。 ■こんな教科書を子どもの教科書として使用することに反対です  私たちは、日本国憲法を否定し国際孤立の道へ踏み込む危険な教科書が、子どもた ちの手に渡されることを許すことはできません。危険な教科書が検定に合格したいま、 各地域でこの教科書を採択させないよう声をあげ、関係機関への働きかけを強めまし ょう。それによって、日本国民の良識を世界にむかって示そうではありませんか。 ■アジアの人々との共生に向けて、共通の歴史認識がもてるような教科書を!  既存の教科書の侵略加害と植民地支配に関する記述が大きく後退した問題について、 その真相と責任を明らかにし、アジア諸国と共通の歴史認識をもてるよう、教科書記 述の充実改善を求め、実現させようではありませんか。    2001年4月3日 「教科書に真実と自由を」連絡会/子どもと教科書全国ネット21/ 社会科教科書懇談会世話人会/「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク/ 全国民主主義教育研究会/高嶋教科書訴訟を支援する会/地理教育研究会/ 日本出版労働組合連合会/日本の戦争責任資料センター/ピースボート/ 歴史教育者協議会/歴史の事実を視つめる会            取扱団体:( 国立市の教科書採択を考える会 )                [連絡先 573-2728 佐々木 ]                                以上

(July 17, 2001)


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