創刊にあたって

words: サエキアキラ

僕がこのくにたちまがじんの前身の「国立タウンガイド」をインターネット上に 初めて立ちあげたのは、たしか4月の始め頃だったと思う。僕がインターネットに かぶれ始めたのは1994年の夏のことで、RimnetやBekkoame、その他の 僕でもなんとか利用できるプロバイダが現れ始めた。

僕は卒業研究その他で 忙殺されていてなかなかできなかったのだけれど、春休みに入ると同時にMacを 買って、電子な世界に飛び出したのだった。プロバイダはRimnet。 大学でもやろうとおもえばできたのだけれども、わざわざ商用プロバイダを 選んだのは商業目的のデータも載せたかったからだ。べつに商売する気もなかったけれど。

国立タウンガイドはほんのお遊びで始めた。ホームページ作成の練習である。 でも、べつに何の意味もなくこのページを作ってみたわけじゃなかった。 タウンガイド的情報がインターネット上にあるのは当然だし、あるべきだった。 でも、だれも作ろうとはしていなかった。将来、どこかの会社が本格的なページを 作るだろうとは思ったけれど、利益を上げられるとはおもえない。だから どこかの企業がつくるなんてことはないだろう。やっぱり自分でつくるしかない。 こうしてタウンガイドは増殖をはじめた。

1995年ももうすぐ終わる。いまや、インターネットの文字が新聞に載らない 日はない。予想通り予想を超えるスピードで物事は進んでいる。 僕が道楽でやっていたページも、協力者や後援者が現れ始めた。このページを 通して沢山の人たちに出会うことができた。 そろそろ、本腰をいれなければならない時期が来ているようだ。

というわけで「くにたちまがじん」新創刊である。 研究と平行してやっていかなければならないので忙しいのだけれど、 協力してくれる人もいる。ここらで一つ本格的な「読める・使える」レベルの 情報を提供していきたいと思う。

タウンガイドではこれまで画廊など アートな情報を提供してきた。これからはそれに加え、福祉やボランティア情報、 市民運動などの情報も提供していきたいと思っている。 政治の話もしてみたい。 そして新しいコミュニティーの形を模索していきたい。

地域に密着した電子コミュニティーは、きっとおもしろい結果をもたらすだろう。 コンピューターは人間的なつながりを阻害すると人は言う。 でも僕はそうは思わない。

(Dec. 1995)